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転送量このところのマシンの高速化と低価格化は驚くべきものだ。サーバーマシンに速いCPUや大量のメモリを使ったとしても、たいしてコストはかからないだろう。OS だって、Linux なら基本的には無料で手に入る。オフィスの賃貸料や人件費は“我慢すれば”なんとかなるものだ:-) しかし、どの会社にとっても、ホスティングを提供するからにはインターネット回線の接続コストから逃れることはできない。だから、ホスティングサービスが提供する転送量、つまりサーバーから参照されるデータの量は気になる要素である。ちなみに、転送量(transfer)はしばしばバンド幅(bandwidth)と表現されているのだが、バンド幅というのは回線の太さを意味すると思うので、ここでは転送量という言葉を使う。さて、どんな情報だかわからないのだが、Infobahn の Research Information を見ると、T1回線(1.5Mbps)で毎月$750〜$1200、T3回線(43Mbps、T1の28倍)なら$12,000〜$24,000、OC-3(155Mbps、T1の100倍)ならば$32,000〜$49,000というコストがかかるはずなのだ。OC-3回線で考えると、1ヶ月の転送量は最大で155M÷8(ビット/バイト)×60(秒)×60(分)×24(時間)×30(日)=約50TB(テラバイト)となる。つまり、回線を目いっぱいに使ったとしても、1GBあたり$0.64〜$1くらいかかる。現実には、回線が常に目いっぱいの状態ということはないだろう(そういう状況だということはサーバーのレスポンスが遅いということにもなる)。だから、GB単価はもっと高くなることも考えられる。PhonomiNET というホスティング会社の、専用線の価格 によれば、100Mbps(月間転送量32,400GB)で$19,999となっており(以前は $14,995 だった)、この場合の1GBあたりの単価は$0.6程度と多少安くなるが、この程度はかかるということらしい。 余談だが、日本の場合は IIJ の接続サービス や JENS の接続サービス などを見ても 1.5Mbps で1ヶ月100万前後かかるようだ。日本と米国間での回線コストは、すべて日本側の会社が負担することになっているそうだが(これは他国でも同じ)、そのあたりがこうしたコスト差に反映してくるのだろうか。上記の情報の正確さが不明だが、回線費用にけた違いの格差があるようでは、なかなか日本では安価なホスティングの実現は難しいだろう。 さて、格安のホスティング会社でも、転送量制限を設定している場合、上限は最低でも1ヶ月1GB程度であり、2GBというケースも多い。上記の計算だと 2GB を維持するためには $1 程度かかる。1ヶ月の料金がこれくらいのところは 2GB のデータ転送があると、それだけで終わってしまうことになる。 前述の DomainsVision や 2MHOST は転送量無制限をうたっているが、使用条件に違反すると上限が 1〜2GB におさえられる。少なくとも、格安ホスティングにおいては、転送量無制限は決して 10GB や 20GB といったレベルではないと判断できる。 「転送量無制限」という表現に反発を持つ人も少なくないようだ。「無制限なんて技術的にあり得ない。こんなのはペテンだ。こういうのに限って使用条件に色々制約が書いてあるものだよ」という感じである。わざわざ unlimband.com とか unlimitedtransfer.comというドメインをとって批判しているケースもある。(もとは無料ホスティングの情報サイトだったようだが)Web 関連のコミュニティとなっている FreeWebspace.net でも、“無制限”という表現には批判が多い。 個人的な見解で言えば、たしかに使用条件はよく読むべきだと思う。そして、実際、転送量無制限というところでは制約が多く、推奨しにくいというのがこのところの感想である。電子メールを中心に使うとか、簡単な家族紹介や単純なページを見せるという以上のことはやりにくい。たとえば、2MHOST の場合、マルチメディアファイルや掲示板だけでなく、「ポータルサイト」(人が集まるサイト)の作成さえ禁じられている。そういうところは転送量が多くなるからだが、これでは「無制限」が看板倒れだと感じられても仕方がないだろう。違反しても 2GB までは無料ということになっているが、かつて HostSearch では 1.5GB くらいでサイトの構成について連絡を受け、アカウントが削除されてしまったというレビューもあった(現在は参照できない)。また、転送量無制限を宣伝するところ限って、あまり安定して動作しないとか、遅いといった傾向もあるような気がする。 さて、2GB という転送量は、どれくらいのものだろう。日本の Yahoo! トップページは 50KB くらいだが、これが 40,000 回、つまり1日約1,300回参照されると 2GB になる。日記の無料サービスを提供している「さるさる日記」の ランキング によれば、1,300回もアクセスがあれば上位10人に入れそうだ。実際、ユーザーのアクセスをこれだけ確保するというのは、かなり大変なことだと思う。インターネットで商売をやろうとか、広く名前を売り込もうというのでもなく、ちょっとした個人のページであれば問題ないだろう。しかし、人気サイトを作ろうというのなら話も変わってくる。日本でもっとも人気のある日記サイトは 侍魂 だそうだが、なんと1日のアクセス件数が20万件を超えるという(たしかに、秒以下でカウンタがアップしていくのは凄い)。ある日のページのサイズを調べたところ約80KB程度であったが、1ヶ月あたりでは80K×20万×30日=480GBの転送量ということになる。これは、T1回線(1.5Mbps)がフル回転しているのとほぼ同等である。安くなったとはいえ、日本でT1回線を引こうとすると月額数10万はかかる(米国なら数万円)。こういう人気サイトを作るなら、ホスティングなど考えずにこういう ISP のホームページサービスを利用する方が安上がりだろう。ちなみに、このサイトの運営元である「ぷらら」のホームページ使用料は月額300円(入会・月額費用は別)である。 また、イメージデータを多く扱うつもりなら、転送量には気を使うほうがよさそうだ。50MB程度のディスク容量を提供しているホスティング会社は珍しくなく、こういうところではイメージを多用したページを公開するにも不足はないのだが、これを目いっぱい使った Web サイトを巡回ツールなどでダウンロードされたら40回(1日1、2回)で2GBになってしまう。 もともと、格安ホスティングは会員の多くの転送量が少ないことを前提に運営しているフシがある。1GBあたりの原価が$0.5だとしても、2GBの転送量を維持するためには月額$1かかる。非常に安価なホスティングを提供している Cyberwing Communications の最低価格は $2.1/年(2002.4.8時)で 6GB が上限となっているが、ほんとうに毎月 6GB 消費されたら、上記の安い場合でも年間 $40 以上かかることになり、赤字になってしまう。 このように、転送量の上限が設定されている場合、少なくとも1GBにつき数ドルの追加を要求されるので注意が必要だ。また、前述の 2MHOST のように転送量無制限というところでも、使用条件によって上限が設定され、追加料金を要求されることもある。 また、discount-hosting.com は 5GB/月まで受け入れる。ぎりぎりまで消費されたら年間の維持費は $40 近くかかることなるはずだが、実際には $10/年という低価格である。ここの条件の厳しいところは、転送量が上限を超えたら無条件でアカウントが削除されてしまうということだ。転送量を超えるつもりがなくても、どこか別のサイトで紹介されて急にアクセスが増えるということはあるかもしれない。人気が出たとたん、アカウントがなくなってしまうとなれば、転送量の多くなりそうなサイトは作りにくい(アカウントが削除されてから別のホスティングサービスを探して、運用するには数日必要だ)。だから、5GB の上限を超えたらアカウントを削除するという条件は、実際にはずっと少ないところで運用してもらうという抑止力となっていると思う。 もっとも、価格が比較的高いところでも、制限を超えた転送量については、追加の料金を要求されることに変わりはない。 転送量の上限が多いサイトとしては、PhenomiNET の TIER 3 プランは年額$120(月額換算$10、月払いの場合は$19.95)の 30GB、 Eagle Web Services($9.95/月で30GB)がある。kikko networks には $19.95/月で50GBというプランがあるが、以前公開されていた HostSearch のレビューはよくないものだった。また、Free Host R us はセットアップ費を $99 払えば後は月額料なしで10GBまで利用できる。Tranquility Hosting はセットアップ費 $50 のみで、永久に 10GB の転送量を提供する Serenity プランを提供している。 |
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